「封印」と「焚き火」について(詳細が遅くなってすみません)

「封印」と「焚き火」について(詳細が遅くなってすみません)

10月1日にリリースいたしました「封印」「焚き火」に、多くのアクセスとお買い上げをいただき、心より感謝申し上げます。


お客さまから「おどろおどろしいハロウィン用の布を」「ハロウィンステッチに似合うムラ染めを」とリクエストをいただき、全力で挑戦した今秋の新作。
想像以上に反響をいただき、嬉しい驚きとともに、体力の限界まで染色・梱包・発送に努めておりました。
そのため記事の公開が遅くなってしまいましたが、本日は制作の裏側と、これからの展開についてお話しさせてください。

 


まずは「封印」についてお話しします。

お客さまから「海外のようなムラ染めを」という具体的なご要望をいただいたことをきっかけに、海外ダイヤーさんの布を参考にしながら研究を始めました。
私自身も海外の手染め布コレクターであり、たくさんの海外製リネンを所持していますので、それらを一枚ずつ広げながら、「この雰囲気をホワベリらしく表現するには?」と試行錯誤を重ねました。

ハロウィンといえば紫。
そのため何色もの紫の試し染めから入りました。
そして、夏の「北極」リリースの際に多くのお客さまから「これからも多色のムラ染めを」というお声をいただいていたことを思い出し、今回は紫+オレンジの組み合わせに挑戦することにしました。

さらに、オレンジにもピンク寄り、ブラウン寄りなど様々なバリエーションがあり、何度も染め分けを繰り返し、最終的に「この2色を重ねることで、ハロウィンらしい世界観が最も立ち上がる」と感じた組み合わせを選びました。

今回のテーマは「おどろおどろしさ」。
ただ可愛いだけのムラ染めではホワベリらしさがぼやけてしまうので、「怖さ」と「美しさ」のちょうど狭間を狙い、紫とオレンジのムラをあえて不均一かつ複雑に重ねていきました。

細かく細かく布をたたみ、染料を染み込ませる角度や温度を変えながら染めることで、まるで蜘蛛の巣が張ったような、幻想的で少し不気味なムラ感が生まれました。

この染め方は手間と時間が非常にかかり、1枚染め終えるころには体力も気力もかなり消耗してしまうほどでした。
それでも、仕上がった布を広げた瞬間、「これが封印の世界だ」と思える布が現れたときの達成感は、何にも代えがたいものでした。

後に染めの師匠からは「もっと効率化のこと考えないと」と言われましたが(笑)、今回は、“非効率だったからこそ生まれた美”があったのではないかな、と感じています。

こうして生まれたのが、ホワイトベアリネンスの「封印」です。
入り組む蜘蛛の巣のような不思議なムラ、影がすっと差し込むような深い紫。
古い洋館の扉をそっと開けるときのような、“物語の始まりを感じる布”になりました。

 


そして「焚き火」です。

なんとこの「焚き火」、「封印」と全く同じ2色で染め上げていると言ったら信じていただけるでしょうか。

これが染めの面白いところなのですが、地の紫を染める時の温度が違うのです。
こちらの「焚き火」は、「封印」の紫を染める時よりもかなり低い温度で染料液に浸していて、結果としてこれだけの色の差を出し、炎の向こうの灰のような闇の感じを出すことに成功しました。


私の信念として、「布の染めだけで完成させてはいけない」というものがありまして、やはり刺繍用の手染めリネンなのだから、刺繍を映えさせてこその染め、これだけで完結してしまってはいけないのですね。
「封印」も「焚き火」も、そういった意味でも私にとっては非常にチャレンジブルな染めになりましたが、秋から冬の楽しい夜長に、ホワベリの布たちでぜひチクチクタイムを楽しんでいただけたらこれほど嬉しいことはありません。

「封印」は28ct と40ct が、「焚き火」は28ct と32ct が、それぞれまだ在庫ございます。
炎のゆらぎのような色合いを、ぜひ手に取って確かめていただけたら嬉しいです。
皆さまのひと針ひと針が、やさしい灯りになりますように。

 

 

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